俺と黒蟻とぼくのおもいで | 世界と日々と君と僕

俺と黒蟻とぼくのおもいで

 一匹の蟻が、畳の上を這っている。こいつにとっちゃあ、ちょっとした毛羽立ちも大海の大波なんだろうなあ。黒雲立ち込める中、マストにしがみつく蟻。行く手には身の丈三倍はあろうかという大波が迫る。ああ、故郷に残してきた幼虫達よ、俺は逝く!


 青いカーテンのおかげで、日曜の朝だというのに深海みたいな色の部屋の中で、ふとした空想がファンタジーとなって俺を放さない。懐かしい感覚だ。十年以上も昔の感覚。当時かぎっこだった俺は誰もいない家で、投げ出されたマリオネットのような格好になってじゅうたんに倒れ臥して、そこから見える風景から想像できるあらゆる世界に逃げたりする子供だった。


 いやだ。こんな子供絶対いやだ。


 でもなんでこんなこと考えてんだろうな。あまつさえ、なんでブログに書いてんだろう。最近の俺はわからんことだらけだ。