俺と日曜とどうでもいい関係
俺はそいつのことをあだ名で呼んでいる。あだ名と言っても、苗字と名前をそれぞれ短縮させてくっつけただけの、まあなんの工夫もない呼び名だ。だけどなんとなく響きが気に入っていて、それは多分耳に心地いいからだからだけど、その習慣は今でもずっと続いている。
本当に久しぶりに会ったのだ、そいつと。東南アジアに旅行したとか行ってたけど、別に黒くねえじゃんて、俺は一目見て思ってた。ぼんやり思ってた。
なあ。俺はそいつに呼びかける。上野は天気が良かった。おまえまたへこんだの?
え、なんで?そんな風に見える?晴れてよかったね。
見えるっていうか、まあいつもと変わんないように見えるけど会ったの久しぶりじゃん。つうかおまえが俺に会おうとする時って凹んだ時でしょ。晴れてよかったな。
えー、そんな風に思われてたんだー。うわ、ソース多すぎだねこれ。
いやいや思ってるよ。前会ったときも言ったじゃん。
覚えてない。前って映画見に行った時だっけ。
別にいいけど。説明責任あると思うけど。別にいいけど。ちっ。
なんかむかつく言い方だわ。ソース多いし辛すぎだー。
食えないんだったら俺が食うよ、そのケバブ。
うんでもキャベツばっかだよ。
もぐもぐ。きゃべつうまいなあ。で、ほんとはなんかあったんでしょ?
しつこいなー。
それ彼女にも言われる。
ふーん、嫌われるよ。
け。じゃあいいよバカ。
おおむねこういう感じで、多分あとはどうでもいい話をしてぷらぷら歩いた。そいつといると、なぜかひどく疲れる。バイオグラフィーが合ってないんだと思う。だから一度会えば、そういうえばこういうヤツだった、ああムカツクとか思ってしまう。なのに二ヶ月に一度くらいなら会いたくなる。すげえ不思議だ。
向こうも同じこと思ってたらすげえムカツクなあと、俺は思った。